巻頭には、それぞれ「雅歌"がか"」、「耶利米亜哀歌"えれみあのあいか"」とある。本文中では、「耶利米亜」は「エレミヤ」と記されている。
旧約聖書のための翻訳委員会は、新約聖書翻訳委員会の発足から二年後の1876年10月、東京聖書翻訳委員会が設けられ、タムソン(David Thompson)、パイパー(John Piper)、ワデル(Hugh Waddell)、コクラン(George Cochran)らにより翻訳が着手された。1878年、東京聖書翻訳委員会を拡大して新たに東京聖書翻訳常置委員会が発足、さらに1882年に組織を改め、翻訳委員にヘボン(James C. Hepburn)、ファイソン(Philip K. Fyson)、フルベッキ(Guido H. F. Verbeck)を任命した。本『旧約聖書 雅歌耶利米亜哀歌』 の翻訳はフルベッキによって訳され井深梶之助が協力、1887年に刊行された。「雅歌」の訳文は、「詩篇」とともに日本の詩歌にも影響を与えた。海老沢有道文庫には米国聖書会社版が所蔵されている。ほかに大英国聖書会社版も知られている。