立教大学所蔵貴重資料特別展示 日本の文豪の自筆原稿 PART4(最終回) 樋口一葉 自筆原稿「詠草」 人文科学系図書館では、これまで3回にわたり、「日本の文豪の自筆原稿」として、夏目漱石、森鴎外、永井荷風、芥川龍之介、谷崎潤一郎の自筆原稿(複製)を展示してきました。最終回にあたり特別展示として、本学所蔵貴重資料の樋口一葉自筆原稿「詠草」を展示いたします。(※2003/12/18まで展示) |
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樋口一葉資料
文学部日本文学科教授 藤 井 淑 禎 「詠草」と聞かされても学生諸君はピンとこないかもしれないが、要するに、和歌の草稿を手ずから綴じたもののことだ。ただ、一葉の詠草に関しては、すでに旧版の『一葉全集』(筑摩書房、昭28~31)を経て新版の『樋口一葉全集』(同、昭49~平6)でほぼ完壁に紹介し尽くされており、当然、わが立教大学所蔵の詠草四冊もそこに見ることができる(新版全集では第四巻(上)に収録)。その四冊を、全集編者の野口碩氏による注の助けを借りてごく簡単に紹介してみると、以下のようになる。
これらは昭和三九年度から四○年度にかけて購入され、平成三年まで日本文学科研究室に置かれた後、新座保存書庫に移されて今日に至っている。その移転の際、(3)に一枚だけ破取の跡が見られることに井上宗雄先生が気づかれた。しかし、全集の注に記載された(3)の総枚数と本学所蔵のそれとは一致するにもかかわらず、全集には破取跡への言及はなく(破取に気づいていない?)、四七首が記された一二枚の後に筆すさびに使われた二枚が添えられているかのように記してある。本学購入のはるか以前に破取されたと思われる部分はその一二枚目と二枚の間にあるので、この一枚分に記されてあったのが和歌であったのかどうかは、にわかには判じがたい。 ※宿題系・・・一葉が歌塾で課せられた、文字通りの宿題 「カレイ」No.22(立教大学図書館発行 1998年12月10日発行)より転載 |