Japanese Literature

  1. 『隔離の文学 : ハンセン病療養所の自己表現史』
    荒井裕樹著、書肆アルス(2011)
    「抑圧された生命を生きる意味」をいかにして紡ぎだすのか
    ハンセン病者への隔離政策が確立する1930年代から、アジア・太平洋戦争期を経て、戦後民主主義を謳歌する1950年代まで。この激動の時代に、病者自身が描いた文学作品を研究・考察した10章から成る。ハンセン病者たちは、自分たちを抑圧し、抹消しようとする社会風潮や国家権力と、いかに向き合ってきたのか。また逆に、どのような言葉を駆使して抑圧に抗してきたのか。極限状況に置かれた者が、いかにして「抑圧された生命を生きる意味」を紡ぎだすのかという普遍的な問題に挑んだ著作。
  2. 『広島 (ヒロシマ) 抗いの詩学 : 原爆文学と戦後文化運動』
    川口隆行著、琥珀書房(2022)
    1950年代広島における原爆文学と戦後文化運動という二つの領域の重なりに向き合う
    1950年代広島における原爆文学と戦後文化運動という二つの領域の重なりに向き合い、そこに見出される表現と運動の歴史的経験を明らかにし、今日的な意義を問う一冊。第Ⅰ部「サークル運動論」、第Ⅱ部「復興批判論」から成る。様々な分断が生み出すイメージを乗り越える越境的な想像力を思考することで、「広島」が真に普遍的な意味での「ヒロシマ」になる道のりを探る研究。