History
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『神仏と中世人 : 宗教をめぐるホンネとタテマエ』
衣川仁著、吉川弘文館(2019)中世に生きる人々の温度感を体感できる日本中世は宗教の時代と称されることがある。中世に生きる人々は、仏像をつくらせ、日夜僧侶に祈祷を命じ、自身や一族の繁栄、天下の太平、果ては政敵の呪殺などをこころみていた。では、宗教と生活とが密接であった中世人は実際どの程度神仏の利益やバチがあたることを信じていたのか。人々はどのように神仏に依存し、利用しようとしたのか。彼らの温度感を体感できる一冊。
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『信念の呪縛 : ケニア海岸地方ドゥルマ社会における妖術の民族誌』
浜本満著、九州大学出版会(2014)現代人が呪術の雰囲気を感じることができるケニアの海岸部ドゥルマ人の間では、現在まで呪術(妖術)が生活に根付いている。この社会では、病気や不幸の原因を妖術に求め、その対処として治療や防御の施術、さらには地域ぐるみの抗妖術運動が行われている。また、近代化や開発政策が進められる中でも、妖術は社会の中で重要な位置を占め続けている。
本書はこのような妖術の利用のされ方や、妖術への対抗策、開発運動との関係を詳細な現地調査をもとに平易な文体で複雑な理論を説明している。現代人が呪術の雰囲気を感じることができる一冊。