- 『源氏物語の女性たち』
- 『東奔西走―中世文学から世界の回路へ』
- 『源氏物語―物語空間を読む』(ちくま新書;097)
- 『装いの王朝文化』(角川選書;573)
- 『王朝びとの生活誌―『源氏物語』の時代と心性』
- 『源氏絵の系譜―平安時代から現代まで』
- 『日本文学史』
- 『伊勢物語:現代語訳付』
- 『人物で読む源氏物語 浮舟』
- 『古典文学の常識を疑う2―縦・横・斜めから書きかえる文学史』
(秋山虔著、小学館1987年)
『源氏物語』に興味があるけれど難しそう、と思っている方へ
『源氏物語』に描かれている作中人物ってどんな人?と思っている方にぜひ読んでほしい一冊。著者は『源氏物語』研究で高名な秋山虔氏。研究書や論文を読むのは難しくても、この本は読みやすい文体で書かれているので最後まで読むことができるはず。目次を読んで、講義で聞いたけれど、もっと詳しく知りたいと思った人物の章を選んで読むのもお勧め。千年前に描かれた作中人物に共感したり、作品をより身近に感じられるようになるはず。
(小峯和明著、笠間書院2013年)
文学の研究って何が面白いの?
本書は、本学名誉教授・小峯和明氏の「研究」について纏められた一冊。『東奔西走』のタイトルのとおり、小峯氏の軌跡から、日本文学研究が世界各地で行われていること、また、「研究」は過去から未来へと積み重ねられていく営みの中にあるものだということがわかる。貴重な書物や資料が海外に多く存在していることも、本書をとおして知る機会になるはず。みなさんは、どんな書物と「出会う」だろうか?
(三田村雅子著、筑摩書房1997年)
『源氏物語』でレポートを書こうと思っている方へ
『源氏物語』についてレポートを書いたことのある方も多いと思う。その際、何に焦点を当てるだろうか。「女性たち」について書くことも一つの視点だが、他にはどんな切り口があるのだろうか?そんな時にお勧めなのが、「物語空間を読む」とサブタイトルのあるこの本。「こんな読み方があるの!」と、これまでとは違う視点の「読み方」と出会えるはず。レポートのテーマで悩んだ時は、ヒントが見つかる一冊。
(川村裕子著、KADOKAWA2016年)
文学作品への入り口のひとつとして
「平成から令和へと時代が変わる」その瞬間を報道するニュースなどで、束帯や十二単などの「装い」に触れた方も多いと思う。本書は、この「装い」を視点に王朝文学作品を紐解く。あの装束を着るのはどのくらいの時間がかかるのか?あの衣はどのくらいの時間をかけて縫いあがるものなのか?女性が男性の衣を仕立てることの意味は?これまであまり意識していなかった「装う」ことについて、作品をとおして触れる機会になればと思う。ぜひページを開いてみて欲しい。
(小嶋菜温子他編、森話社2013年)
王朝文学作品を様々な視点から論じるために
たとえば、レポート課題で一つの作品について論じる時、何を参照したらよいだろうか。本書は、平安王朝文学をジェンダー、恋愛や結婚、宴と政治、占いなど、様々な視点から論じた論集。「こんな視点から作品を読むことができるのか!」と新たな作品理解に触れる機会になるかもしれない。専門用語や作品名・資料名にルビが付されており、初学者にも読みやすい。レポートの構成にも参考になる一冊。
(稲本万里子、森話社2018年)
絵を「読む」―絵巻鑑賞の面白さ
「源氏物語絵巻」を見たことのある人は多いだろう。でも、『源氏物語』の内容を理解していないと絵巻の鑑賞は難しいと思いがち。本書は、「源氏物語絵巻」について、作品の特徴、鑑賞のポイント、絵師、時代背景などの解説を読みながらそれぞれの絵を鑑賞することができる。また、対象とする作品について説明する「ディスクリプション」は、美術史に限らず、レポートで考察対象について説明する際の参考となる。絵巻鑑賞の際はもちろん、分析方法なども参考にしてほしい一冊。
(小峯和明編、吉川弘文館2014年)
レポートのテーマを設定する際にお勧めの一冊➀
『日本文学史』とタイトルの付く本はいくつかあるけれど、本書は時代やジャンルで括るのではなく、漢文と東アジア、メディア、戦争、ジェンダー、環境など、現代の私たちが抱える問題意識と日本文学が繋がるものだという発見を得られる一冊。レポートのテーマ設定に悩んだら、ぜひ読んでみて欲しい一冊。書きたいテーマが見つかったら、各章に付されている参考文献一覧も参照してレポートを書いてほしい。
(森野宗明校注、講談社文庫1972年)
注釈書を読みくらべてみよう
『伊勢物語』という作品名は有名だが、「古文の授業」のイメージが強いのではないかと思う。一方で、大学の講義では解釈が分かれている歌や章段について触れる機会がある。このことについてレポートでまとめる際には自分で調べる、つまり「注釈書」を読みくらべてみることになるが、本書は注がわかりやすいので、作品理解や和歌の解釈について検討する際にお勧めの一冊。「最新の本」ではないけれど、テキスト解釈についての入り口のひとつになればと思う。
(西沢正史企画・監修 上原作和編集、勉誠出版社2006年)
『源氏物語』の作中人物について、詳しく調べたい方へ
『源氏物語』の作中人物それぞれについて一冊に纏められた、全20巻のうちの一冊。『源氏物語』最後のヒロインと言われる、浮舟についてのキーワード、先行研究、研究史など、レポート作成に必要な情報が詰まった一冊。光源氏は主人公なので二冊から成るが、藤壺の宮や紫の上、明石の君などの主要人物別に、それぞれ一冊に纏められているため、「○○という人物について調べたい」という時には便利でお勧めのシリーズ。
(松田浩他編、勉誠出版社2019年)
レポートのテーマを設定する際にお勧めの一冊②
『日本文学史』の紹介二冊目。『文学史』の書籍はたくさん出版されているので、目的に応じて選書することをお勧めする。なかでも本書は、「令和」という元号についてや、『竹取物語』の求婚者たちのその後は?『百人一首』が流行したのはなぜか?『奥の細道』のネットワークについてなど、知っている作品について書かれているものが多い。中学、高校の授業で読んだ作品について、教科書には書かれていない文学の面白さに触れるきっかけになる一冊。