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海老沢有道文庫開設
 
   日本キリスト教史研究の専門家としてご高名な故海老沢有道先生の旧蔵書を本学で受け入れ、「海老沢有道文庫」として開設する準備を始めたのは、先生の御逝去2年後である1994年からのことであった。 爾来、多くの方々のご協力により、「文庫」の選書・整理作業は進み、1996年11月、「文庫」は非公式ながらすでに運用を開始するに至っている。1999年に「海老沢有道文庫目録」全1冊が刊行されたことによって、「文庫」は名実ともに本学のコレクションとして正式にオープンしたことになる。これは、本学図書館のみならず、日本近代史学界・日本キリスト教史学界にとっても一大慶事であり、その実現にご尽力されたすべての方々に対し、ここにあらためて感謝の意を表したい。
   本学で長く教鞭を執られ、斯学に大きな業績を残された海老沢先生は、予てより、ご専門の研究分野の書はもちろん、幅広い範囲にわたる書物の熱心な蔵書家でもいらっしゃった。先生が集められた書物は、先生ご自身の手によって分類され、登録され、ラベルまで貼って所蔵され、先生はご自宅にみずから「有道文庫」を作られ、関係者の利用に供しておられたとお聞きする。
   先生の没後、令夫人から、先生とは縁の深い本学にその旧蔵書を寄贈したい旨のお話があったとき、私たちは、学内外に評価の高いその貴重なご蔵書を本学にお引き取りし、「海老沢有道文庫」として広く公開することは本学の使命であると考え、喜んでお申し出をお受けしたのであった。
 
蔵書内容
 
   蔵書内容は明治期のキリスト教文献、キリシタン文書を中心に約12,000冊にも及んでいたが、文庫としての質と保存書庫のスペースを考え、この方面の専門家のご指示を仰ぎ、その中から約半数を厳選し、6,000冊あまりの書物よりなる「海老沢有道文庫」が完成したのである。
   キリシタン史、日本のキリスト教史、和訳聖書に関する資料や讃美歌集や讃美歌に関する書物も含まれている。 選書にあたっては、特に鈴木範久教授(日本キリスト教史)にひとかたならぬご尽力をたまわった。
   鈴木先生は2年間、のべ30回近く新座の保存書庫に足を運ばれ、1冊1冊に目を通され、選書の労を執られた。 予てより学会に名高かった「有道文庫」が、このような形で本学のコレクションとしていっそう充実した「海老沢有道文庫」に生まれ変わったのは、ひとえに鈴木先生のご好意によるものといっても過言ではない。ここに衷心より謝意を表したい。
 
 
図書館のオンライン目録(OPAC)で学内外に公開
 
   1999年に発行された「海老沢有道文庫」は、刊行物として広く国内に配布されるにとどまらず、文部省科学研究費の研究成果公開促進費による「キリスト教の日本受容データベース」(研究代表:鈴木範久教授)にも収録されている。 このデータベースには「海老沢有道文庫」を始め、本学図書館が所蔵する雑誌“Spirit  of  Missions”等の目次データベースをも収録されており、既にデータ作成を終えた「海老沢有道文庫」は、図書館のオンライン目録(OPAC)で学内外に公開され、雑誌の目次データベースも公開されている。 日本キリスト教小図書館のごとき感を呈するこの「文庫」が、今後も多くの人々の研究に資することを願ってやまない。
 
1999年3月
立教大学図書館長
森  秀  樹

海老沢有道文庫目録から一部引用
 
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