新エロイーズ(全6巻)
タイトル(仏) | Lettres de deux amans, habitans d'une petite ville au pied des Alpes | |
タイトル(日) | 新エロイーズ | |
責任表示 | J.J. Rousseau | |
著者名典拠 | Rousseau, Jean-Jacques | |
出版年 | [1761] | |
出版地 | 1er:Paris 2e~6e:Amsterdam | |
出版者 | 1er:Duchesne 2e~6e:Marc Michel Rey | |
言語 | フランス語 | |
ページ数 | ||
大きさ | 17cm | |
装丁 | 洋装 | |
請求記号 | NDC: 953.6||R 76||1 NDC: 953.6||R 76||2 NDC: 953.6||R 76||3 NDC: 953.6||R 76||4 NDC: 953.6||R 76||5 NDC: 953.6||R 76||6 |
|
注記 | 1er Running title: La Nouvelle Héloïse |
|
PDF(一部抜粋) | 新エロイーズ:1er 2e 3e 4e 5e 6e | |
立教OPAC登録番号 | 1er:52252723、2e:52252724、 3e:52252725、4e:52252726、 5e:52252727、6e:52252728 |
解 説
1761年に刊行された『新エロイーズ』は、書簡体形式で書かれた恋愛小説です。物語の中心をなしているのは、確かに「恋愛」ですが、この作品にも、社会批判、共同体論、「経済」論、教育についての考察など、現代の読者には脱線とも思えるさまざまな要素が組み込まれています。
さて主題である「恋愛」ですが、これがまた実に奇妙なものなのです。『新エロイーズ』は書簡体小説ですから、登場人物たちは自分たちの感情を相手、つまりは読者に書き続けるわけですが、不思議なことに、「恋愛」の核心は、書かれていない部分にこそある――そうルソーは仄めかしているようなのです。「無意識」や「抑圧」、「倒錯」といった言葉や概念がまだ存在していなかった時代です。ルソーはこの(特異な)「恋愛」のメカニズムを、「欲望」の現象学と共同体固有の規範の問題に関連づけながら、残酷なまでに見事に暴きだします。
複雑な執筆・編集過程を経て出版された『新エロイーズ』は大成功を収めました。この時代最大のベストセラーのひとつといわれる程です。さまざまな海賊版がヨーロッパ中に流通しました。もっと重要なことに、この作品はある読者層の価値観に根底から揺さぶりをかけることになりました。歴史学には「書物の歴史」や「心性史」といわれる領域がありますが、この作品が絶えず歴史学者の特別な関心を集めているのはそのためです。(桑瀬 章二郎・本学教授)