人間不平等起源論
タイトル(仏) | Discours sur l'origine et les fondemens de l'inégalité parmi les hommes | |
タイトル(日) | 人間不平等起源論 | |
責任表示 | Jean Ja[c]ques Rousseau | |
著者名典拠 | Rousseau, Jean-Jacques | |
出版年 | [1755] | |
出版地 | Amsterdam | |
出版者 | Marc Michel | |
言語 | フランス語 | |
ページ数 | lxx, 262 p | |
大きさ | 19.5cm | |
装丁 | 洋装 | |
請求記号 | NDC:311||R 76 | |
注記 | ||
PDF(全文) | 人間不平等起源論:表紙まわり 本文 注その他 | |
立教OPAC登録番号 | 52252721 |
解 説
1755年に刊行された『人間不平等起源論』は多様な側面を持っています。この作品は独自の人類学的思考の結晶とみなされることもあれば、ルソー作品中もっとも洗練された哲学的考察であると考えられることもあります。
取りあげられる主題も言語や動物性と実に多岐に渡りますが、そのタイトルが想起させるように、核心にあるのは不平等の諸問題といってよいでしょう。
現在、わたしたちの周囲では、金融至上主義(「金融化」)の急速な進展により、不平等と格差はいたるところで拡大し続けています。富める先進国でも貧困が深刻な社会問題となっています。
もちろん、ここでも、そうした問題に対し、ルソーはすぐに役立つ「具体的な」解決策を示してくれるわけではありません。しかし、ルソーはやはり、不平等の諸問題について考えるうえで貴重なヒントを差し出してくれるのです。
ルソーは不平等の問題を「起源」から根源的に考えようとしました。どうして不平等は生まれたのか。どうして不平等は人間の間で定着しなければならなかったのか。その謎を解くため、ルソーは有名な「自然状態」、「自然人」という理論装置を導入します。そして理論的仮説として不平等の拡大・定着の「歴史」を描き出し、それを哲学的、心理学的、人類学的に、つまりは理論的に分析していくのです。
ルソーの考察を古めかしい過去の理論として退けるか。それともそこに現代にも通じる哲学的・経済学的洞察を読みとるか。ここでも試されているのは読者なのです。(桑瀬 章二郎・本学教授)