フランス音楽に関する手紙

 

フランス音楽に関する手紙 タイトル(仏) Lettre sur la musique françoise : sunt verba & voces, prœtereaque, nihil
タイトル(日) フランス音楽に関する手紙
責任表示 J.J. Rousseau
著者名典拠 Rousseau, Jean-Jacques
出版年 [1753]
出版地 [S.l.]
出版者 [s.n.]
言語 フランス語
ページ数 92 p.
大きさ 19.5cm
装丁 洋装
請求記号 NDC:762.35||R 76
注記  
PDF(全文) フランス音楽に関する手紙
立教OPAC登録番号 52252729

 

解 説


 ルソーは生涯を通じて音楽を愛しました。
 自伝的著作や書簡を読めば、ルソーが幼少期から文字通り音楽に囲まれ、晩年までこの芸術と共に生きたことがわかります。それだけではありません。ルソーは実際に、音楽家であり、音楽理論家でもありました。彼は独自の記譜法を発明し、『百科全書』に多数の音楽関連項目を執筆し、自らの特異な音楽思想を磨きあげていきました。また、たくさんのオペラ=バレーや歌曲を残しています。なかでも幕間劇『村の占い師』は大成功を収めました。
 この音楽家・音楽理論家ルソーが再び注目を集めています。
 それには幾つもの理由がありますが、ふたつに限るなら、まず、彼の音楽作品・音楽思想が政治思想や文学作品と取り持つ緊密な関係が明らかになってきたことが挙げられます。今日では、主要理論的著作とみなされている作品は、音楽思想への参照なしには、正しく理解することができないと考えられているほどです。
 次に、ルソーの音楽理論の生成過程が、その政治理論以上に、彼の対話者、つまり同時代の友人やライバル、更には乗りこえるべき先人との複雑な思想的緊張関係を明らかにしているという点が挙げられます。独創的な理論は絶え間のない対話を通してのみ打ち立てられる――そう考えるべきでしょうか。
 こうした観点からとりわけ重要であるとされているのがこの『フランス音楽に関する手紙』です。論争書という体裁をとりながら、ここでは『言語起源論』などで展開される音楽、言語、政治の関連性の問題までが透けてみえます。「旋律の純一性」という自伝的著作にとって重要な考え方までもが現れています。(桑瀬 章二郎・本学教授)