日本文学専攻LAのおすすめ本
-
『動物の声、他者の声 : 日本戦後文学の倫理』
村上克尚著、新曜社(2017)「動物」の表象を手がかりに武田泰淳・大江健三郎・小島信夫の文学を読み解く日本の戦後文学は、「大東亜戦争」によってもたらされた惨禍を乗り越えていくために、「人間性」の復興を目指したとされている。だが、その「人間性」という理念こそ、戦時中に行使された暴力を下支えするものだったのではないか。本書はこのような視座から、戦後文学の大胆な読み換えを試み、「人間性」に対する疑義を提示した作品として、武田泰淳、大江健三郎、小島信夫の文学を読み解いていく。
-
『国民国家と不気味なもの : 日露戦後文学の「うち」なる他者像』
堀井一摩著、新曜社(2020)日露戦後文学から国民化の抑圧と民衆の抵抗の力学を描き出す従来の国民国家論は、国民国家を制度論の観点から論じる傾向があり、国民国家の内部の人々の抵抗の様相を十分にはとらえきれていなかった。だが、国民国家が抑圧、排除してきた対象は、本当に主体性を完全に奪われるがままだったのだろうか。本書はこうした問題意識から日露戦後文学を読み解き、一度は排除、抑圧された対象がやがて「不気味なもの」(フロイト)として回帰し、国民国家の自明性を脅かしていくさまを論じる。
