奈良絵本 竹取物語絵巻 ギャラリー4


 江戸時代、『竹取物語』は多くの読者を得ていたことが想像される。とりわけ、現存する絵巻や絵本の多さは特筆に値し、挿し絵とともに愛好された物語であったことがわかる。本文が比較的異同が少ないのに対し、挿し絵は諸本により場面選択をはじめ異同が多いことが注目される。・・・(中略)・・・
 浅井了意(慶長年間 - 元禄4年〈1691〉没)は、『東海道名所記』や『浮世物語』などで知られる仮名草子の作家である。彼の代表作『伽婢子(おとぎぼうこ)』(寛文6年〈1666〉)の序文には、『大和物語』や『宇治拾遺物語』、『うつほ物語』とともに『竹取物語』への言及がある。・・・(中略)・・・
 了意が活躍していた17世紀後半は、ちょうど『竹取物語』の絵巻や絵本が制作された時期と重なる。了意やその時代の人々はどんな思いで『竹取物語』を読んだのか。描かれた『竹取物語』を見るたび、その疑問を解く鍵は、絵巻や絵本の多様な挿し絵にあるような気がしている。

(カレイ 57号 2007年6月より)

戻る