White Aster, a Japanese epic『孝女白菊の詩』

 

Whige Aster

タイトル White Aster, a Japanese epic : together with other poems from the German adaptation of Prof. Dr. Karl Florenz
タイトル(日) 孝女白菊の詩
責任表示 by A. Lloyd
著者名典拠 井上, 哲次郎
Florenz, Karl Adolf
Lloyd, Arthur
出版年 1897 [明治30]
出版地 Tokyo
出版者 T. Hasegawa
言語 英語
ページ数 82 p. : col. ill.
大きさ 20 cm
装丁 和装本
請求記号 NDC:919.6||I 55
注記 Based on the Chinese original (孝女白菊) by Tetsujiro Inoue
On double leaves folded crepe paper in Japanese style
PDF White Aster, a Japanese epic
立教OPAC登録番号 52169035
NCID BA2072810X

 

解 説


 井上巽軒(哲次郎)の漢詩「孝女白菊詩」をドイツ留学時代から井上と親交があった東京帝国大学のカール・フローレンツがドイツ語の叙事詩として訳し、それをロイドが英訳したものです。
 白菊の描かれた帙に入っており、巻末の日本語奥付によれば、絵画印刷者は小宮犀寿、文字印刷者は廣瀬安七、印刷者は長谷川武次郎となっています。
 西南戦争後の滅び行く武士の家庭を描いたこの物語は、落合直文が七五調の和文「孝女白菊の歌」として発表し、講談社の絵本「孝女白菊」となって広く読まれました。

 

第1篇

『孝女白菊の詩』23頁


戦を逃れて暮らす阿蘇の山里で母に先立たれた少女白菊は、ようやく戦から戻ってきたものの、狩りに出かけたまま行方不明の父を探しに出かけます。途中の山寺で請われて身の上話をし、眠りにつこうとすると、重傷を負った父の霊が枕辺に現れます(23頁)。

 

第2篇

『孝女白菊の詩』31頁


さらに山に分け入ると、山賊に捕らえられてしまいます。隠れ家で請われて琴を弾き歌っていると、兄が現れます。かつて父の怒りに触れて家を出た兄は江戸で学び(31頁)、改心して戻ってみると、故郷は戦で荒れ果て、ようやく白菊を探し出した、というわけです。

 

第3篇

『孝女白菊の詩』55頁

『孝女白菊の詩』65頁


兄との再会もつかの間、二人は追いついた山賊に襲われて再び離ればなれに。白菊はとある神社の境内で出会った農夫の養女となります。月日が過ぎて美しく成長した白菊に縁談が持ち上がります。実は自分は赤ん坊のときに白菊の野で拾われた捨て子、と生まれと名前の由来を語りますが(55頁)、結納品に目がくらんで聞く耳を持たない養父の元から逃げ出し、意に染まぬ結婚をするよりは、と橋の上から身を投げようとする白菊を背後から止めたのは他ならぬ兄でした。兄との再会を喜び、ともに故郷の家に向かうと、崩れかかった家には年老いた父が戻っていました(65頁)。