竹取物語貼交(はりまぜ)屏風 挿絵解説

   

(1) 難題譚「大伴の大納言と龍の首の玉」

難題譚「大伴の大納言と龍の首の玉」

 かぐや姫は求婚する色好みの貴公子5人にそれぞれ難題を出します。
4人目大伴の大納言には「龍の首にある五色の玉」が要求され、全財産をはたいて従者らに探索させるが失敗し、自ら海上に船を漕ぎ出して竜神の怒りを買い大雷雨と大暴風に遭いほうほうの体で岸に辿り着きます。

 画面は烏帽子姿の三人の男が介抱しようとするところ、下部には工匠たちが、大納言を乗せる手輿(てごし)を造っているようです。

 

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(2) 難題譚「石上(いそのかみ)の中納言と燕の子安貝 その1」

難題譚「石上(いそのかみ)の中納言と燕の子安貝 その1」

 「燕の持つ子安貝」を要求された石上(いそのかみ)の中納言が、五人の男たちに命令して燕の巣を探索している場面です。
梯子で屋根にのぼる者、すでに屋根にのぼって巣を探る者と、建物の周囲でその様子を見守る者たちが描かれています。
藁屋根の上には、柳の木とともに燕が三羽描かれています。

 

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(3) 難題譚「石上の中納言と燕の子安貝 その2」

難題譚「石上の中納言と燕の子安貝 その2」

 子安貝を得ようとして石上の中納言が落下する場面です。
中納言の後方、助けようとする男の手には薬湯の器のようなものが描かれています。さらにその周りは、中納言に駆け寄る人々でしょうか。画面左には水辺が、画面右下には松と土波(どは)が配されています。
駆け寄る男たちは、狩衣姿の者と水干姿の者とに大別されます。

 

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(4) 「帝の勅使・内侍、翁と媼を訪ねる」

「帝の勅使・内侍、翁と媼を訪ねる」

 翁の屋敷に、帝の勅使である内侍が訪れた場面と思われます。いわゆる吹抜屋台の手法で、帝の命令のもと、かぐや姫に会いにきた内侍とそれに応対する翁と媼が描かれています。縁の外の三人は、内侍に従って屋敷に来た従者たちのようです。興味深いことに、三人組の中央にいる狩衣姿の男と似た装束の人物が(3)と(5)の挿絵にも描かれています。

吹抜屋台(ふきぬきやたい)とは

絵巻の構図には俯瞰(ふかん)描写を試みたものが多く、建物の屋根や天井を省いて、室内の模様を俯瞰的に描いた画法は「吹抜屋台(ふきぬきやたい)」と呼ばれています。

 

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(5) 「帝、かぐや姫に会いにくる」

「帝、かぐや姫に会いにくる」

 帝が直接、かぐや姫に会いにきた場面です。
室内にいて、几帳の傍らに立ち姿のかぐや姫に対し、帝は縁側に立っています。
縁の外には、随身たちが描かれ、さらに屋敷の門前には、帝を待つ三人の従者と舎人、鳳輦(※ほうれん、鳳凰をつけたこし)の一部とおぼしい乗り物が画き込まれています。

 

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(6) 「かぐや姫、月を見て嘆く」

「かぐや姫、月を見て嘆く」

 画面の左上、「すやり霞」の合間に月が描かれ、画面右半分に室内にはかぐや姫をはじめ、姫との別れを嘆く翁と媼が描かれています。かぐや姫の脇には几帳があり、その外側には水墨山水風の襖絵が画中画として描かれています。
画面左下には、さらに目を手で押さえる稚児や涙を拭う三人の女房たちが描かれています。袖で涙を拭うしぐさは、かぐや姫・媼・女房たちと共通しており、それぞれが響きあうかのようにも見えます。

すやり霞とは

 大和絵、特に絵巻物で、横に長く棚引く霞。遠近感を与え、また場面を転換するために用いられました。槍霞(やりがすみ)。

 

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(7) 「天からの迎えを一同迎え討つ」

「天からの迎えを一同迎え討つ」

 かぐや姫を迎えにくる天の使いを待ち受ける地上の人々の様子が描かれます。
画面中央の縁側には、竹のような棒を持ち、上半身をはだけた女房が描かれており、注意を惹きます。
右の挿絵では、屋根の下、室内には翁が片肌を脱ぎ、弓をもつ姿が描かれています。左の挿絵の上半身をさらす女房と対照的に描かれているかのようです。

 

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(8) 「天人の迎え、かぐや姫の昇天」

「天人の迎え、かぐや姫の昇天」

 

天人たちがかぐや姫を迎えにきた場面。
かぐや姫はすでに地上を離れ、天人とともに昇天しているようです。
翁は別れを惜しむかのように手をあげ、天からの迎えに怖れをなしてか、媼はひれ伏しています。天人は琵琶を演奏するもの、書状(手紙?)をしたためるもの、蓮華を肩にさげるもの、三者三様に描かれています。
左の挿絵では、画面上部に三峰の富士を描き、それを背景に瑞雲に乗る天人たちが描かれています。

 

竹取物語貼交屏風

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