庄司浅水(しょうじ・せんすい)について


 

 本名喜蔵(きぞう)。1903年仙台市に生まれる。三田英語学校専攻科卒。幼少の頃から書物に興味を持ち、日曜学校に通ってキリスト教にも興味を持つ。1925年東京麻布飯倉の南葵文庫に勤務。1927年『ルツ記霊訓 祝福と安息』(訳本)を上梓、1929年「ぐろりあ・そさえて」社から『書籍装釘の歴史と實際』を実質的な処女作として刊行する。1932年ブックドム社設立。『書物の敵』『書物の話』『最新製本術』など自著のほか、徳富蘇峰『愛読五十年』等の出版、書物誌『書物趣味』を創刊。徳富蘇峰の知遇を得て秘書として仕えたり、書簡集の編纂にもたずさわる。

 1939年共同印刷株式会社入社、その後凸版印刷会社に転じ1948年退社。美術教育出版の「芸術科学社」を創業、文筆生活に入る。

 書物研究家・蒐集家としてのみならずノンフィクション作家として活躍。著書には、『定本 庄司淺水著作集』(書誌篇)全14巻(出版ニュース社)『印刷文化史』(印刷学会出版部)、『本の文化史』(雪華社)、『世界の七不思議』、『奇談千夜一夜』、『世界の神秘』(以上社会思想社』など多数。『日本出版学会会員、日本ペンクラブ会員、東京学芸大学、東京デザイナー学院、武蔵野美術大学講師・京都外国語大学専任講師等を勤める。


参考文献:庄司浅水著『わが愛書の記』、『出版文化人物事典』(日外アソシエーツ)、『出版人物事典』(出版ニュース社)、平井紀子「専門家訪問 書物研究家 庄司浅水氏」(「書物索引展望」1980.2)