留学を考えている方へのLAおすすめ本 2023 Fall

  1. (ジョン・アーリ、ヨーナス・ラースン著;加太宏邦訳、法政大学出版局2014
    留学前の新たなまなざし
    留学ということは居住地から離れ、新たな様式を学び、文化を交流するこということで、一種の「観光」である。著者は、観光という一種の行動様式について、近代の社会的慣行としての「観光」、個人心理の問題ではなくて社会的にパターン化かつ学習された見方である「まなざし」を合わせた「観光のまなざし」がどのように変遷してきたのかを論じている。新たな交流を期待して留学する前に他文化への様々な見方を身につけよう。
  2. (ブレイディみかこ著、文藝春秋2021
    自分とは「ちがう」誰かとともに生きるための留学
    ブレイディみかこさんが、イギリスでの異文化体験も交えながら「共感」(エンパシー)とは何かという問いについて書いています。コロナ禍の緊張の中で、自分とは異なる他者へ「共感」しながら生きる可能性を考えた本です。コロナ禍の世界では、あからさまな形で人種や階級などによる分断があらわになりました。今の時代の留学は、より一層、多様な人たちと生きることを考える機会になるのかもしれません。この本はそのための助けになるはずです。
  3. (加賀美雅弘, 川手圭一, 久邇良子著、学文社2014
    ヨーロッパに行く前に
    ヨーロッパとは何か?法律や政治制度など、現代の社会生活における多くの要素がヨーロッパ由来であることはよく知られている。まさにヨーロッパの国々へと留学に飛び立つあなたも、「ヨーロッパとは何か?」というありきたりではあるが深い問題を抱いているかもしれない。本書は地理・歴史・政治の三つの観点から現代ヨーロッパを説明しており、読みやすい解説書となっている。本書は、あなたにとってのヨーロッパへの旅の良い導入本となるだろう。
  4. (高野幹生著、IBCパブリッシング2015
    留学の前に読むべき一冊
    留学する目的は、語学・異文化の交流や体験など様々ですが、共通する悩みは、海外生活に慣れるのだろうかという点です。それには、留学経験者によるアドバイスが最も役に立つと思われます。本書はそのような一冊としておすすめです。留学の様々なプログラムから、経済的費用、全般的な生活を把握でき、語学力習得に関する貴重な体験談もあります。ぜひ読んでください。
  5. (G・ホフステード, G・J・ホフステード, M・ミンコフ著 ; 岩井八郎, 岩井紀子訳、有斐閣2013
    留学する前に、グローバル時代の多文化世界について考えてみよう
    異文化体験を通じてグローバル時代に求められる能力を身につけるのは留学の目的の一つである。このため、「グローバル社会とは何か」、「このような時代に何が求められるか」を知ることは、これからの留学生活に役に立つことであろう。本書は、76におよぶ国と地域での価値観調査に基づいて、グローバル社会を、国民性(人間)と文化(組織)の違いから読み解く。多様な価値観を織りなした「多文化」世界で、どのような違いが存在するのか、如何にそのような違い(異文化)を理解して対応するのか、「多文化共生」という視点がなぜグローバル時代において重要なのかを教えてくれる。多様な考え方や行動の仕方がぶつかり合う「多文化世界」の理解にきっと有用な一冊である。
  6. (エリン・メイヤー著 ; 樋口武志訳、英治出版2015
    留学や他文化との接触に、語学力より不可欠なものとは何か?
    グローバル時代に最も求められる能力は、語学力よりも、「異文化理解力」である。留学を通じて「異文化理解力」を身につけることは留学の目的の一つとなるであろう。留学の前に「異文化理解力とは何か」を知り、それを意識して実践しながら他国で過ごすことで、自分の留学がより有意義なものになると思う。本書は、「カルチャー・マップ」で国文化の相対比較の他に、具体的な実例が沢山挙げられている。理論と自らの体験を組み合せて、文化の違いが生まれやすい「8つのマネジメント領域」に沿い「異文化理解力」をわかりやすく解説している。他者とコミュニケーションを取る上で考慮すべき点、多様性が溢れる今の時代に必要な物事の捉え方や認識の仕方を教えてくれる。本書を読むことで、「異文化理解力」を知り、これからの留学生活に役に立つことであろう。
  7. (岩渕功一編著、青弓社2021
    多様性/ダイバーシティへのまなざし
    多文化共生、ジェンダーやセクシュアリティなどに関する批判的論考集です。多様性やダイバーシティが「よいもの」として称揚される傍らで見えにくくなる制度化・構造化された格差・不平等の存在を、理解しやすい文章ながら鋭く指摘しています。多様性/ダイバーシティをどのように受け止め、向き合えばよいのか。本書が与えてくれるそのアイデアは、留学前・中・後のどの場面でも活かしていけるものだと思います。
  8. (日本比較文学会編、彩流社2011
    相対化する視座
    日本文学や日本のサブカルチャーがアジア・欧州・英米のそれぞれの言語圏に向けてどのように発信されているのか、またそこでどのように受容されているのかについての論文集です。本書は言語表現を中心に日本文化を扱っている研究書ですが、各言語圏の文化状況と照らし合わせることで日本文化を常に相対化しようとする視座から論じられており、留学を機に改めて日本と海外の文化的関係を考える際におすすめです。
  9. (小熊英二著、新曜社1998
    「日本人」とはなにか
    日本から留学に旅立つ。一見、あたりまえのように存在している「日本」だが、いったい「日本」とはどこからどこまでを指しているのだろうか?そして、「日本」の多くの人口を構成していると考えられている「日本人」とは誰のことを指しているのだろうか?「日本」から「外国」や「海外」に留学に行く前に、一度本書を手に取り、「日本」や「日本人」の枠組みを問い直してみることをおすすめしたい。
  10. (板倉厳一郎, スーザン・K・バートン, 小野原教子著、松柏社2008
    イギリスに行く前に映画を観ながら勉強しよう
    イギリスとは不思議な国です。他の国と同様に、イギリスには、日本に住んでいる私たちには馴染みのない社会文化があります。その特殊な社会文化を、映画を観ながら勉強できるのが本書の特徴です。イギリスに旅立つ前に、予習に最適の”イギリス”入門書です!映画好きという方にも是非お勧めします!本書で紹介されている映画のいくつかは、図書館にも所蔵されています。そちらも併せてご利用ください。
  11. (朴沙羅著、筑摩書房2021
    「違い」とどう向き合うか
    フィンランドで子育てをしながら生活することになった社会学者のエッセイ。まったく異なる社会での生活を通して感じた日本との「違い」を、単に優れているとか劣っているとかではなく、いかに「おもしろい」(時に「なんでやねん!」)と感じたのかを綴っています。日常生活で抱く違和感・モヤモヤを見逃さず、何を考え、どう対処していったのか、翻って日本社会がどう見えるのか。そうした「生活の練習」の仕方を教えてくれるこの本は、異文化で生活することになる留学に役立つかもしれません。
  12. (原沢伊都夫著、明石書店2014
    どのように異文化に触れるべきか考えてみよう
    すでに日本で留学生活を送っている私からみると、留学を成功させるためには、留学先の社会や文化を理解し、その国の人々と付き合うことが非常に重要です。本書は、著者の海外滞在経験や見解からどのように異文化に触れるべきかについて示唆を与えています。学術的な本ではありませんが、だからこそ留学を真剣に考える前、または留学を準備する前、手軽に読んでおく本としておすすめです。