奈良絵本 竹取物語絵巻



 このたび、立教大学図書館では『竹取物語絵巻』を購入しました。2006年度の文部科学省の補助金交付を受けての収集品です。日本の古典遺産として、『源氏物語』をはじめとする多くの物語作品があることは知られていますが、『竹取物語』もその一つです。『竹取物語』は『源氏物語』にまさるとも劣らぬ知名度があるにもかかわらず、絵画的な資料の数は限られています。
 『竹取物語』の写本はいわゆる奈良絵本系統が中心であり、室町絵巻の流れを汲む善本は、国内では東大蔵、国立国会図書館蔵、宮内庁書稜部蔵が代表です。海外所蔵品にはチェスター・ビーティ図書館、ニューヨーク公共図書館、メトロポリタン美術館の善本があり、国内外の所蔵資料の比較を通じた研究が必須です。その上で本『竹取物語絵巻』は、画風が奈良絵本風ではなく狩野派風であることと、画面数も18面で最多に属することから、きわめて研究価値の高い資料です。

(小嶋菜温子・本学教授)